釜山国際映画祭 ワールドプレミア上映会レポート
10月9日(金)に韓国・釜山のBusan Cinema Center(cinema2)にてワールドプレミア上映を迎えました。上映後には、主演の大倉琉人と隈本遼平監督が登壇し、観客からの質問に答えるQ&Aイベントも開催されました。日本公開に先駆けて世界初上映を迎えた本作の、現地でのワールドプレミア上映後の観客から質問に答えるQ&Aイベントの模様をお届けします。




11月20日(金)よりkino cinéma新宿ほか全国公開となる、murffin discs20周年記念映画『はじまりのさよなら』が、第31回釜山国際映画祭の「VISION – ASIA」部門に正式出品され、10月9日(金)にワールドプレミア上映を迎えた。
上映後には、映画初主演を務めた大倉琉人と隈本遼平監督が登壇し、現地の観客とのQ&Aを実施。満席となった会場では、作品の細かな描写や登場人物の心情に踏み込んだ質問が次々と寄せられ、大倉と隈本監督が撮影時のエピソードや作品に込めた思いを語るなど、釜山の観客との交流を楽しんだ。
■ワールドプレミアを迎えた喜びを語る
上映後、観客の前に登場した大倉と隈本監督。隈本監督は、釜山国際映画祭で本作をワールドプレミア上映できることを楽しみにしていたと語り、現地の観客への感謝を伝えた。大倉も韓国語で自己紹介し、観客に挨拶。日本語と韓国語の逐次通訳を交えながら、Q&Aがスタートした
■大倉琉人が語る、主人公・樹太への向き合い方
観客からは、大倉が演じた樹太の繊細な心情表現について質問が寄せられた。撮影当時、自身も変声期を迎えていたという大倉は、樹太と自分自身の状況が重なる部分があったと振り返る。
さらに、役作りでは登場人物との距離感を意識していたといい、父親との関係では距離を縮めることの難しさを感じる一方、ほかの人物との関係では異なる距離感を大切にしながら演じたことを明かした。
また、撮影中の印象的なエピソードを尋ねられると、母親・花江役の板谷由夏との共演シーンを挙げた。物語の終盤、樹太が母親と歌う場面に加え、その直前の親子の会話が強く印象に残っているという。板谷が撮影前に台詞の言葉やニュアンスを少しずつ変えながら、大倉の感情がどのように動くかを探ってくれたことを振り返り、そうしたやり取りを通して役やシーンを作り上げていく過程が貴重な経験になったと語った。
■隈本遼平監督が明かす、細部に込めた演出意図
Q&Aでは、観客から作品の細かな描写に着目した質問も相次いだ。樹太が靴をいつも同じ場所に揃えていることについて質問された隈本監督は、目の見えない親のために、靴を同じ位置に置いておくという設定から始まったことを説明。撮影を重ねる中で、樹太自身の繊細さや几帳面な性格も表す描写になっていったことを明かした。
さらに、母親と暮らす場所と父親の家で花の様子が異なる点についても質問が寄せられた。隈本監督は、花そのものに明確な意味を設定していたわけではないとしながらも、母親と暮らす家や街並みと、父親のいる場所の風景を対比させたいという思いがあったと語った。
また、登場人物の感情やキャラクターの描き方については、人物像を最初から固定しすぎず、俳優との対話や撮影中に生まれる変化を大切にしていたことを説明した。
■隈本監督が選ぶ、忘れられない海辺のシーン
「監督が選ぶベストカットは?」という質問に、隈本監督は海辺を見つめる場面を挙げた。
撮影では、カメラがいつ回り始め、いつカットがかかったのかを俳優が意識しすぎないような撮り方を心がけていたという。その場面で樹太が口にする景色の美しさについても、撮影後に見返すことで、単に風景が美しいということだけではない意味が感じられたと振り返った。そうした発見が撮影する喜びにもつながったといい、自身にとって深く印象に残るシーンになったことを明かした。
■釜山の観客との交流に感謝
Q&Aの終盤、大倉は釜山国際映画祭で本作を上映できた喜びを改めて語った。完成した映画を観るのは今回が2度目だったといい、改めて鑑賞したことで、水の流れる音など、より細やかな表現に気づくことができたと振り返った。そして、思春期特有の複雑な感情を抱える樹太に、観客もそれぞれの思いを重ね、共感してもらえたらうれしいとメッセージを送った。
隈本監督も、観客が作品を真剣に受け止め、さまざまな質問を寄せてくれたことへの喜びを語り、直接言葉を交わせたことへの感謝を伝えた。
作品の細部にまで踏み込んだ質問が相次いだワールドプレミア上映後のQ&Aは、釜山の観客と作品への思いを分かち合う貴重な機会となった。
【開催情報】
■イベント:第31回釜山国際映画祭『はじまりのさよなら』ワールドプレミア上映会
■日時:2026年10月9日(金)15:40~上映開始/上映後Q&Aイベント開催
■会場:Busan Cinema Center Cinema 2(韓国・釜山)
■登壇者:大倉琉人、隈本遼平監督
murffin discs設立20周年という節目に、音楽レーベルが初めてオリジナル長編映画製作に挑んだ『はじまりのさよなら』。釜山国際映画祭でのワールドプレミア上映を経て、10月12日(月)には国内初上映となる大阪先行プレミア上映会、そして…いよいよ11月20日(金)よりkino cinéma新宿ほか全国公開となります。
音楽とともに少年の「変化」と「成長」を繊細に描いた本作に、ぜひご注目ください。
第31回釜山国際映画祭公式サイト
https://www.biff.kr/eng/

